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「ねぇ、亜理子。
サイゴに伝えておかなきゃいけないことがあるんだ。」
「…え…?」
貴方が口にした『サイゴ』と云う言葉は、『最後』なのか『最期』なのか分からなかった。
でも、貴方との御別れなんだ…と、呼吸が乱れ…。
「大丈夫、
亜理子を守らなきゃいけないのは解ってるんだよ。
でも、少しの間用事が出来たから…御免ね。」
「そう…。」
私の心は暗く沈んだ。
だって、少しだけでも
離れるから。
御別れだから。
「でもね、此の薔薇が黒く染まる頃、君を迎えに来るから…。」
そう、貴方は力なく微笑むと、
私を抱き締め、耳許で
「またね…」と囁き
家から出ていった。
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