5/8
前へ
/30ページ
次へ
その言葉を耳にしたとき、反射的に涙が零れた。 一瞬の内に。 「…どうして?」 彼女は、とても申し訳なさそうな口調で淡々と話し始めた。 「実は、修太、 首吊り自殺を図ってて。 伝えようと思ったんだけど…、なんだか恐くて…。 本当に御免なさい。」 「いえ…」 自殺? 信じられなかった。 あの時の言葉は、やっぱり『最期』であっていたようだ。 「貴女宛に手紙が見つかったわ。明後日、葬式が××会場で行われるから、午前10時に来て頂戴。 その時に渡すわね?」 「…。」 「大丈夫?」 こんな時、 何が言えようか? 大丈夫な訳があるまい! 私は必死で嗚咽を漏らさぬよう、泣き崩れぬよう 食い縛っていたけれど、 途中で張っていた糸が切れたように、壊れた。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加