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          (こえを確かに聞いたのです)   黄昏時雨時のころ ましろな空に描かれたそれは まるでパステルピンクでお絵描きされた 小さな子供のこころのようで   煙草をくわえた唇が 仄かに熱を帯びていた 確かに聞いた、それは 優しい生クリームの香りがした   くじらが食べられるよりずっと昔 時間ですらも微笑んでいて 光は花畑でひなたぼっこしてて 空はひどく澄んだ青だったころ   わたしの呼吸から風が生まれ きみの微笑みで海が輝き 鳥や魚と 会話ができていたんだ     布団のなかで 世界を展開する 悲しい小人が 死んだ瞳の小人が   明くる朝目覚める時に 時空が狂えば良い 君の世界に 太陽が生まれれば良い     ふさいだ耳に 確かに聞こえた 空白の"    "(魔法の言葉!)   頬に添えられた 六億の温もりが ほんとうは     (一番大切な、こえ)       忘れないで 象/緑の瞳のきみよ ここにある ほんとのこえを   忘れないで 明くる朝 更新された きみを包み込む ほんとのこえを  
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