02,転入生

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時すでに遅しとは、 まさにこの事だと思った。 「おせぇよ、千唄!」 「や、まずこの状況を 説明してほしいんだけど…。」 無傷の隼人とパンツ一丁の沢田 そして、真っ黒な上級生。 …勝負がついてんのか ついてないのか。 その状況からすると 全く判らなかった。 「や…実は、負けて…な。」 そう隼人が呟く。 その表情は穏やかなもので、 滅多に驚くことのない あたしが驚く程だった。 「え、何ツナが喧嘩したの!?」 りんこは沢田に向かって 信じられないといった 驚き顔をしていた。 「喧嘩っていうか、その…」 沢田は口ごもると、 いきなり隼人は吠えた。 「10代目に馴れ馴れしく 話しかけてんじゃねぇよ!」 「は?10代目って何よ! 変なあだ名つけて ツナいじめんの止めてくんない!」 りんこはそう食って掛かると、 沢田は慌てて その間に割って入っていった。 すると,コツコツと わざとらしく微かに音をさせながら スーツを着た小さな男の子が現れた。 「あら、リボーン…。」 「ちゃおっス。」 片手を軽く上げてにやりと 子供らしくない笑みを 浮かべるリボーンを あたしは抱き上げた。 「隼人、負けね?凄い意外…」 「そうか?オレがついてるんだ ツナが負けるはずないぞ。」 あたしはくすっと笑うと 小さくそうね、と呟いた。 「あんな表情の隼人を 見るの久しぶりだから、 少し嬉しくなっちゃったわ。」 「これからは、ああいう表情が きっと増えるぞ。 お前の前以外でもな?」 「いいわね。 ただ、りんこと喧嘩するのは 頂けないけどね?」 困ったようにあたしが笑うと リボーンも帽子を深く被り、 フッと笑った。 「認められる人が出来たなら あたしはそれで嬉しいわ。」
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