01,死ぬ気弾のせい

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「りんこ、鈴町りんこ!」 「え…ぁ…はいっ!?」   不意に名前を呼ばれ 不安を綴った夢のなかから、 不安だらけの現実に 引き戻された。 ぼーっとする頭を無理矢理 叩き起こされた上に なんか、怒ってる。 訳がわからない。 「先生…なんで起こすんですか…。 熟睡してる生徒起こして、 心が痛くなりませんか」 「ならないな。 教科書くらい、開いとけ。」 ぴしゃりと言って退ける先生に 少しイライラしながら教科書を開く。 訳分からない数式が ずらりと勢ぞろい。 こんなに並べて こんな本、作るやつの 気が知れない…。 あたしは 教科書を労るように 優しく閉じ、ため息をついた。 すると、「りんこ」と 小さな声がした。 きょとんとしながら、 声の方に首を向けるとその先に となりの席のいとこ・ツナが 呼んでいた。 「どうした、ツナ吉。」 「ツナ吉ってなんだよ…。 お前、これ…わかる?」 こいつ…あたしが 出来ないの知ってて聞いたんだな。 昔は、女の子みたいで 可愛かったが、 今となっては、その可愛らしさも 憎たらしさに変わる。 「知りませんよ。 ツナのお馬鹿さん。」 「お馬鹿さんはお前も あんまり変わらないだろ!?」 「先生ー!沢田くんが お馬鹿さん呼ばわりしてきますー!」 その後、二人共こっぴどく 怒られたのは言うまでもない。
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