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「さて、待ち受けに…」
「ギャー!!イヤー!!やめてー!!」
楓は自分の長身を生かして腕を伸ばしたので、背が低い由城には届かなかった。
「可成ぃ、あの人たち誰だろ?」
「あとで聞いてみようよ」
由城をほっといて、二人はビラ配りを続けた。
「おぉ…」
「やっぱり多いね」
少し経ってから、誠司と京一が校舎へ入って来た。
「由は……校内かな?これじゃあ簡単には見つからないな~」
「………………あ」
京一は口をポカンとして静止した。
「京ちゃん?」
「ケータイ忘れた。先に校内に入っていいよ」
「わかった。そうするよ」
誠司は人集りの中に入って行った。
………よし。
誠司が見失ったのを確認してから、京一も人集りの中へ行った。
誠ちゃん、ごめんね。
俺すぐ見つけちゃった。
弟くん
京一はゆっくり由城の後ろに回った。
由城は楓たちが去ってから一息吐いていた。
「萩沼、大丈夫か?」
「うん……」
「顔、青いよ弟くん。」
「え………あ………」
由城は振り向くと目を大きくして固まった。
「京一さん……;」
「驚いた。まさかそんな格好をしてるとは…誠ちゃん呼びたくないよね」
由城は何も言い返せなくてただ苦笑いしていた。
「可成ぃ、また誰かきたぞ」
「また、あとで聞いてみようよ」
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