“創立記念祭”

13/16
前へ
/31ページ
次へ
「さて、待ち受けに…」 「ギャー!!イヤー!!やめてー!!」 楓は自分の長身を生かして腕を伸ばしたので、背が低い由城には届かなかった。 「可成ぃ、あの人たち誰だろ?」 「あとで聞いてみようよ」 由城をほっといて、二人はビラ配りを続けた。 「おぉ…」 「やっぱり多いね」 少し経ってから、誠司と京一が校舎へ入って来た。 「由は……校内かな?これじゃあ簡単には見つからないな~」 「………………あ」 京一は口をポカンとして静止した。 「京ちゃん?」 「ケータイ忘れた。先に校内に入っていいよ」 「わかった。そうするよ」 誠司は人集りの中に入って行った。 ………よし。 誠司が見失ったのを確認してから、京一も人集りの中へ行った。 誠ちゃん、ごめんね。 俺すぐ見つけちゃった。 弟くん 京一はゆっくり由城の後ろに回った。 由城は楓たちが去ってから一息吐いていた。 「萩沼、大丈夫か?」 「うん……」 「顔、青いよ弟くん。」 「え………あ………」 由城は振り向くと目を大きくして固まった。 「京一さん……;」 「驚いた。まさかそんな格好をしてるとは…誠ちゃん呼びたくないよね」 由城は何も言い返せなくてただ苦笑いしていた。 「可成ぃ、また誰かきたぞ」 「また、あとで聞いてみようよ」
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

190人が本棚に入れています
本棚に追加