第三章。『謎のメッセージ』

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その青年の説明によると、その家は赤い屋根に白い壁の洋館風の2階建て、門柱の上の部分に獅子の顔が彫られてあるという事であった。 「……それと庭には何かのブロンズ像があったような気がします」 「ブロンズ像? もしかして女神の形をしていない?」 「女神? そう言われればギリシャ神話に出て来る女神のような格好をしていたかも知れません」 「…(それだ !!)」 家の謎は解けた。後は実際に行ってみるだけ。 「どうですか、探していた家ですか」 駿哉は何事かを考えて暫らく黙っていた。 「……まだ、断定は出来ないけどそうかも知れない。今度、暇を見つけて行ってみるよ」 「そうですか。じゃあ、僕はこれで……」 「ちょっと待ってて」 その青年が帰りそうなるところを呼び止め、駿哉はそのまま隣の部屋に向かい財布から千円札を3枚取り出し、帰ろうとする青年の手に握らせる。 「少ないけど、何かの足しにして……」 「あっ、どうもありがとうございます」 思わぬ報酬に青年の顔が綻(ほころ)ぶ。 「本当にどうもありがとうね」 「じゃあ、失礼します」 ドアを閉めたかと思ったら原付バイクのエンジン音がしてその音はすぐに消えた。 「…(やはり、悪戯ではなく実在した)」 直ぐ様、隣の部屋に入ってテーブルの上の携帯を取る。間宮に電話を掛けようとしたが、『ハタ』と左指が止まる。何か物凄い嫌~な予感がしたからだ。 「…(このまま電話をして良いものだろうか)」 だが、場所的に遠いし一人で行く勇気もなかった。少し考えてから携帯のリダイヤルのページを開く。 翌日曜日は昨日にもまして天気が良かった。駿哉と間宮は朝早くから出掛け、今、赤い屋根、白い壁の家の門の前に立つ。勿論、駿哉の右手の中にはあの鍵が握り締められていた。
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