最終章。『謎は謎のままに』

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〔4〕 買い物ついでにと磯貝を駅まで送り届けアパートに戻った時には午後4時を過ぎていた。体調も良くなってくれば腹も空く。冷蔵庫に買って来た食料をしまい込んで牛乳のパックとお菓子の袋を持って部屋に入るとテーブル上にきつね色の無地の紙袋がある事に気付く。 「…(そうだ、磯貝さんにパンを貰ってたんだ)」 テーブルに牛乳のパックと菓子袋を置いてパンの入った紙袋に手を伸ばす。中を開けてパンの種類を確認すると、あんパンにクリームパン、そして、揚げパンが入っているのが分かる。 「…(おっ、うまそうじゃん。じゃあ、早速、クリームパンをと……)」 クリームパンを手にベッドに腰を下ろす。ここ2日はろくに物を腹に入れていなかったし、入れてもミカンなどの果物だけであった。袋を破いてパンを取り出そうとしたところでテーブル上の携帯が鳴る。 「…(倉内さんからだ)」 写真の件は何か分かったのだろうかと能天気に携帯を耳に当てる。 「もしもし、どうでした?」 『あっ、やっと出た……花穂さん、繋がったわ』 電話の向こう側が騒々しい。 「どうしたんですか」 『どうしたもこうしたも……何度電話しても出ないし』 「あっ、スミマセン。会社の先輩がお見舞いに来てくれて携帯を持たずに外出してました」 『………だそうよ』 間宮は車を運転しているらしく倉内から説明を受けている様子が伝わって来る。 「それでですね、倉内さん、花穂さんに磯貝という人が昨日、会社を辞めたって言ってもらえませんか」 『えっ、もしかしたら、今、磯貝って言った?』 「はい」 『随分と暢気ねぇ。犯人はその磯貝って人だったのに』 「はははっ、冗談は止めて下さいよ」 『冗談じゃないわよ』 倉内の少し怒ったような真剣な声に冗談ではない事に気づく。 「一体、どういう事です?」 それから倉内の長い説明が始まった。
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