男女の契り≠ボク

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   七瀬は「今日はひとまず、このへんで」と言うと、腰掛けていたソファーから立ち上がった。玄関まで送って行き、彼の背中を見届けた後、用意した茶菓子を片付ける。ふと机上を見ると、写真が数枚並べられていた。どうやら彼が置いていったようだ。   「やれやれ、昼飯前にこんな写真を見せられた僕の身にもなってほしいものだ」    それにしても酷い有様である。遺体の状況を見る限り、本当に人の仕業なのかどうか疑ってしまうほどに。    ――ドンと、入口から騒々しい物音が響いた。あぁ、“アイツ”か。   「累計2時間43分17秒とコンマ2。迅速な対応に評価を」    如月は額に汗を浮かべながら、事務所に入るなりそう言った。お決まりのベージュ……コートから帽子まで全身ベージュ。しかし、いつもとは違う点があった。   「なんだか急にボロくなりました?」    彼のお気に入り、ベージュのコートが所々破けている。几帳面な彼が、この状況を見逃すはずがない。   「あぁ、全く散々な目に合ったよ。依頼人の一人に三毛猫を飼っている人がいてね。その猫と戯れ……いや死闘を繰り返した結果がこの様だ」  
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