男女の契り≠ボク

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 なるほど。うん、なるほど。大きく二度頷いた僕は、締め切った部屋の空気を入れ換える為、事務所の窓を開けた。外の冷気が心地よく、寒空の陽光が頬を照らす。   「それで、一通り謝罪した結果、許してもらえました?」   「あぁ、なんとかな。今後の依頼はソラ君に頼むそうだが」   「結果的には同じことでしょう。僕に依頼しようが、あなたに依頼しようが……どちらにしても。まぁ、気分的に違うでしょうけど」    部屋の温度が寒くなり過ぎないよう、窓をガラッと閉めた。さて、食べ損ねた昼食を取ろうか。   「あっ、そう言えば依頼が一つ来ました。そこに被害者“たち”の写真があるから見といてください」    如月に依頼の件を話し、昼食用に冷凍のグラタンを電子レンジで温める。全く、世の中便利になったものだ。   「うぅむ。まるでグラタンのホワイトソースのような顔色だな」    チン――。    如月の言葉と電子レンジ音とが“合奏”した時、僕は完全に食欲を失った。  
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