男女の契り≠ボク

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〈1〉      ~プロローグ契り~     ×  ×  ×  ×   「私は君が欲しい。事が全て上手く運べば、契約を結ぼう」    男は確かにそう言った。彼の言う契約とは人形としての私に対する哀であって、欲情を満たすほどの愛ではない。玩具になり果てた私は、一種の不安と濡れに染まることは、もうない。   「私はあなたの人形ではない」    そうは言ったものの、心の中では目に涙を浮かべ、表面上の強がりは何処へやら。そんな胸中を察したのか、男は私の心と体を鷲掴みにした。    否、絶対的に抵抗できないほどの腕力と権威で、完全に跡形もなく強奪した。     「やはり、君が欲しい」      一夜を共にした寒空の闇は、私を奪い去った彼との契りを刻むこととなった。    こんな私の醜い姿でも、彼は心から愛してくれた。    そう信じたい。    一種の願望が欲情に浸され、深い海に溺れるほどの愛と哀を感じた。    二人の契約は漆黒の闇に吸い込まれる訳でもなく、契約を表沙汰に且つ明白に曝すこともなく、誰にも知られぬまま秘匿とされていく……。       ×  ×  ×  ×    image=152075437.jpg
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