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遺体を調べても身元がわからないとなると、所持品から判断する必要がある。当然のことながら、警察も調べているだろう。しかし、この事件は厄介なことに非公開だ。所持品を教えてくれる訳もない。
さて、どうするか。
「深刻な顔をしているな。女性にふられでもしたか?」
ふと、背後から聞き慣れた声がした。今、一番殴りたい男の声だ。
「残念ハズレです」
そう言って振り返ると、ベージュ色に包まれた彼が立っている。
「やぁ。何かわかったかね?」
「多少はね。如月さん……あんた、今まで何処をほっつき歩いていたんだ」
「うむ、なかなか美人だったぞ。首都薬科メディシャン総合女子大学の生徒たちは」
「如月さん……女子大生を見に行ってたんですか!?」
「まぁ“それも”あるが……。一人目の被害者の身元がわかったぞ」
「なんだって!?」
彼の話によると、被害者は50歳前後の男性で、その女子大で講師をしているとのこと。また、次期教授になるのも間違いなかったとか。
「よく調べましたね。警察も手こずっているようなのに、どうやって?」
「ふっ、オジサマの特権だ。存外、モテモテなのだよ」
「あぁ、そう」
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