ワタシ絶望≠恋心

15/15
前へ
/156ページ
次へ
  「オジサマの特権ねぇ」    彼は何故か数多くの女性と連絡手段を持っている。恐らく、発見したその女子生徒が友人に伝え、その友人が次に……と如月まで回ってきたのだろう。警察よりも早い情報網に脱帽するしかない。    ひょっとすると、もっと凄腕の情報屋か何かと知り合いなのではないだろうか。なんて、考えてみる。    相方である僕にも、彼の謎はいまいち解明できない。   「二人目の被害者は、どうだったんだ? 事件現場に行ったんだろう?」   「えぇ、行きましたよ。被害者は41歳の女性で、大学の助教……ん!?」   「どうした?」    一つ、僅かながら繋がりがある。   「いや、二人とも大学に関連しているんですよ。女性は助教授、男性は近い内に教授となる予定だった。二人は大学内で何らかの地位と権威を持っていることになる」    偶然という可能性もあるが、大学関係者に纏わる事件である可能性も出てきた。彼らに怨みを抱いている人物を探すのが近道か。   「その線で探るか?」   「えぇ、如月さんは情報源を使って“そっち”を。僕は一つ気になることを“確認”してみます」   「うむ。しかし、今日は一旦帰らないかね? 時間も時間だ」    彼に促されるままに、赤と黒のコントラストが輝かしい街並みの中、二人の男は帰路へと着いた。    image=153876568.jpg
/156ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1372人が本棚に入れています
本棚に追加