男女の契り≠ボク

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「まずですね、最近ニュースにも取り上げられている奇怪な殺人事件をご存知ですか?」    確か……遺体の中身が“全て空っぽ”になっている悪趣味な事件だ。一部の報道では、UMAつまり未確認生命物体の仕業であるとかないとか。そんなニュースを見たことがある。しかし、何故か初日にしか放送されなかった曰く付きの事件だ。   「えぇ、恐らく知っているかと」   「よかった。この事件を知らない人には頼めませんから。その事件のことなんですが……」    彼は何やらゴソゴソと紙袋の中から、数枚の写真と警察手帳を取り出した。   「遅れましたが、警視庁捜査本部の七瀬(ななせ)と申します。以後、お見知り置きを」    思い出したかのような随分と遅れた挨拶を終え、彼は写真を机上に並べた。目を背けたくなる写真ばかりが並んでいる。   「こちらこそ、自己紹介が遅れました。神無月と申します。なんなら空でも構いません。呼ばれ慣れているので」   「では失礼して、ソラさんで。非常にグロテスクな写真をお見せして申し訳ないのですが、かの有名なソラさんに是非とも見てもらいたく思いまして」    正直、本当は見たくない……が、そんなことは言えない。  
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