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写真は全て事件の被害者の遺体を撮影したものであり、中身が空であることは明白に見て取れる。吐き気を催すほどの惨殺ではないが、不自然なほど青白い遺体に目を背けたくなる。
「被害者の写真です」
そんなこと言われなくとも、認識できる。とにかく片付けてくれ。
「えっと……依頼の概要は理解できました。つまり、この不可解な死因を調査しろ、という訳ですか?」
「その通りです」
全く、何て事だ。僕は探偵であって、鑑識じゃないぞ。死因の追究なら警察(そちら)でやってくれ。
「あの……」
「いえ、わかってます。あなたが探偵であって、鑑識ではないことは十分に理解しています。それでも、お恥ずかしい話、警察はお手上げ状態なんです。力を貸してください」
やれやれ、確信犯か。僕に何をしろと? 警察がお手上げ状態なのに、僕に解決できるとでも思っているのだろうか。
正直、あまり気乗りしない。如月なら間違いなく断るな。しかし、ここは違いを見せ付けないと。
「まぁ、やれるだけのことは……」
「本当ですか!? いやぁ、ありがたいです。天下の“アドバーサリー”ソラさんが協力してくだされば、鬼に金棒どころか爆弾ですよ」
漸く彼の事情を理解した。堂々と警察の人間が、探偵に依頼するなど世間的によろしくはない。この件を内密にしたい訳だ。
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