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加持弘毅
喧嘩は生まれた時から強かった。
しかし中学時代にひとつ上の桜井初めて敗北する。
数回挑むが惜敗。
力の差は年を重ねる程縮まりつつあった。
勉強など喧嘩に明け暮れていたから無縁。
彼女は一度いたが面倒くさくてやめた。
恋と呼ばれるほどの経験はしたことがなかった。
テリヤキバーガーを頬張る青木を向かえにして…
コーラをストローですすりながら…昔みたK1の選手を思い出した。
強烈な蹴りで相手をKO。
かっこいいと憧れ画面を食い入るように見ていた。
それに似ている。
目の前のマックを食べている男に対して今、自分が感じているのはその時と似た気持ちだ。
「加持、それ中身もーねんだろ?」
ズーズーと加持のストローが高い音をたてていた。
「あっ…」
そして言われて加持は中身がないことに気がつく始末。
「なん、俺の食いかたおかしーの?」
青木はわかっていた。
じっと見つめられていたのはそんな理由じゃないことくらい。
そして、確かめたかったことがそうであると、ほぼ確信した。
いずらいのか加持がもうないそれのストローを噛んでいる。
「ガキみてーなの」
青木が意識的ににこりと笑えば、反応した加持の顔が赤くなったのだから。
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