その②

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「男!?」 場所は変わり、オレの部屋。 居酒屋とは打って変わって、落ち込んだ様子の佐賀に、そんなに大学生の彼女が惜しかったのかと聞けば… 他に男がいるという。 「…やっぱり変すか?」 佐賀はずりずりと四つん這いで、オレの座るソファへとやってきた。 それから、床に座ったままソファへ頭をつけ、オレを潤んだ瞳で見上げた。 頬はすでに赤く色付いている。 中々自分の魅せどころ知っているらしい。 狙いなのか天然なのか。 「いや…変とは言わないが…」 買ってきたカクテルを片手に、佐賀はソファに頬をつけたまま語り始める。 人のことは自分も言えないが、その彼氏は随分と遊び人らしい。 「まぁ…特別に彼女がとかじゃなくて来るもの拒まずみたいな…あ、でも男は一応オレだけみたいで…まぁ、女の子と張り合ったって仕方ないんすけど…」 くたりとしながら、佐賀の指先が動く。 ソファに体育座りするオレの裸足の甲に。 なんともなしにソロリと撫でられた。 「オレって、付き合ったらやっぱデートとか電話とかちゃんとしたいタイプで…」 オレは聞きながらじっとその佐賀の指先を見ていた。 「ほっとかれると寂しいっていうか…なんか愛されてるっていう実感がなくて…」 指先が止まったと思えば、じっと見つめられていた。 ゾクリとする視線で。 少し、思った。 こんな子にこんな表情をさせるのは一体どんなろくでなしなのか…。 「なぁ、佐賀。彼氏の名前は?」 「…辻哲男」 そう言いながら佐賀はぐいと足首を引っ張り、その太腿に頬を乗せた。 辻哲男…か。 また、厄介なやつだ。 独占欲が強く、我が儘。 「瑛人さん…」 「……?」 見下ろせば、誘われた。 そう言うしかない。
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