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昔からだ。わたしはどうにかして自分を正当化しながら、ずるずると冷たい汚い地面を、くねくねと這うように生きてきた。面倒なことや、煩(わずら)わしいことからは、そうやって上手く交わしていたのだ。
理由付けは、わたしの十八番。
第2子の命の芽生えを否定する人間は、誰一人として居なかった。そらの時は、みんなあれだけ揉み合いながら話し合ったのに。今や一同、手を挙げて喜んでいる。
腹に手をやった。まだそれが生きていること、わたしは確かめられない。
「パパが喜ぶように、女の子になるんだよ。」
そうすれば、きっとパパはママを見つめてくれるから。
そうすれば、きっとパパは『ひろみ』とは会わないから。
でも、ごめんね。
パパは、ママのものなんだからね。
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