たいよう

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「そら、お兄ちゃんになるんだよ!」 彼の母が、よたよたと歩くそらの体を抱き締める。そらは歓喜の声を上げた。もちろん、『お兄ちゃんになる』ことに対してではなく、『祖母に抱かれた』ことに対してなのだけれど。 みんな、わたしの気持ちを、聞いて! わたしだってね、まだまだ女の子なの! オシャレだってしたいし、仕事だってしていたい! ワガママかも知れないけど、聞いて! わたしだって、誰かに甘えたいんだよ! わたし、彼のいちばんになりたいの! 祖母は、男の子でも女の子でもいいようにと、それから服を買うときは、黄色や赤、白ばかりを手にしていた。 「女の子だよ!」 わたしはピンクを指差したけれど、取り合ってはくれない。 女の子じゃないと、困るんだよ、あなたは。 男の子だったらきっと彼は、また男かぁーって、残念そうにするんだから。 そしてまた、ひろみに会いに行くんだ。
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