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「ままー」
ぺたぺたと足音を鳴らしながら近づいてくる男の子は、死んだわたしの父にそっくりな顔をしている。
生まれ変わりだなんて言葉を信じたことはないけれど、それが一番しっくりとくるような気がしている。少なくとも、わたしは。
「あー、」
小さな体を目一杯使って両手を広げる。わたしは少し、複雑な気持ちでそれに答えた。にぃーっと、頬が上がっている顔を見たら、何となくわたしも、それにつられて頬の筋肉が持ち上がった。
彼の名前は、そら。
漢字は当て字で、よく『あおい』とか『そう』なんて読まれることがほとんど。
でもわたしは、気に入っている。きっと、同じ名前で同じ読み方をする人間は存在しないだろうから。
彼の名前は、蒼。
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