失われた世界

来訪者

今のこの状況は、優也が過ごしてきた日常そっくりだ。

同じことを何度も何度も繰り返すだけの平凡な毎日。

変わらないこの景色とどことなく似ている気がするのは、決して気のせいなんかじゃない。

そう思えば、いくら疑問を持とうとも答えの出ないあの感じにそっくりでどうしようもなく歯痒くなる。

もしも優也の考えが正しければ、今自分がいる世界は多分、呼応しているのだ。

現実と――つまり、優也のいた世界と。

不意にそんな考えが脳裏をよぎった。

正直言って、なぜそう思ったのかは自分でもよくわかっていなかった。

「何と呼応しているのか」「具体的にどういう点で似通っているのか」などと訊かれても、恐らく答えられなかっただろう。

それでも、勘や閃きの類なのだろうが、なぜか不思議と確信をもっていた。

そしてもし、万が一でも本当にそうだとしたら――。