プロローグ-序章-

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物心がついた頃から、ただ漠然と「自分は平凡な人間なんだ」って思ってた。 そんな勝手な思い込みのせいか、今までの俺はテストの成績も社会でのポジションも、ついでに才能も全部中の中ってとこだった。 正直なんのために生まれてきたのか、或いはなぜ生きているのか、その意味さえわからない。 だから、自分は特にこれと言って目立ったこともないような平凡な人生を送るんだと思ってた。 ただ社会のために機械的に働いて、それに見合った給料を受け取って、適当な人間と結婚して、最期には老人らしくひっそりと死んでいく……そう、その程度だと思ってたんだ。 なぜかはわからないけど、ふと気付いたら「それが人生ってもんなんだ」って自分で定義付けてた。 俺の勝手な憶測に過ぎないけど……多分他のやつらもみんな、それぞれ形は違っても、結局は俺と同じことを考えてると思う。 どんなでかい夢見たって、そんな素晴らしい夢を叶えられるのはほんの一握りの才能ある人間だけ。 悲しいけど、所詮凡人止まりの俺たちには最後まで縁のない話だ、って。 ……でも、本当にそうなのか? 叶うはずがないとわかってるのに、それでもひたすら頑張ってるやつだって世の中には大勢いる。
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