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乳房切除術(ちなみに、読み方は'ちぶさ'でなく'にゅうぼう'と読む。)
を 受けた患者は、大体が 一晩を ICUで過ごし、翌日は 病棟へ移る。
私の場合、なぜか ハプニング的なものが 多発する人生なのか、結構余計な事が多い。
病棟のベッドの空きが 無かった為、2日も ICUに いる事になってしまったのである。
集中治療室と言うからには、この部屋で 人生を終えた方も 沢山おられるであろう。
………とにかく!怖いんだよう!!(泣)
2日後、私は やっと 病棟に移れた。
ほとんどの人が 私と同じ様に腕を固定されていた。
この病院は 重篤な癌患者と 軽度の癌患者とが 別な病棟に分けられていた。
重度も軽度も 無い気もするが、要するに いつかは帰宅する事を 予定して良いのが 私の入った病棟、という所だろうか。
部屋の皆さんは、和やか…を通り過ぎた、やけに明るいメンツだった。
挨拶を終え、荷物を片付けていると、看護婦が 白い 肩掛け鞄の様なものを 持って来た。
「…?なあに、ソレ?」
今から ここに ビンを入れて、毎日の 肉汁の排出量を 見るのだと言った。
それまでも ドレーンで 抜いていたのだろうが、私には
よく わからなかった。
まだ 癒着していない 胸の皮と体の間に 液が溜まる。
それを 放置すると、熱を持ったり、なかなか 癒着してくれないのだそうだ。
毎日 溜めて、出て来る量が減るまで ぶら下げていて貰います。と。
胸の下に 穴が開いていて、何か チューブが出ていたのは さすがに 知っていたものの、何のためかは 初めて知った。
ボーッと 眺めていた私に、同室の おば様が
「こんなモン、三途の川の渡し賃入れて貰うヤツみたいだよねえ!
せめて花柄でも してくれりゃいいのに!」
と 話し掛けて来た。
私は 思い切り吹いた。だって、私が考えていた事 そのものなんだもん!
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