癌病棟へ

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癌患者本人だからこそ 言えるジョークである。 笑っていると、例のアメリカかぶれの担当医が 部屋にやって来た。 「どう?この部屋、面白いでしょう?」 うん。かなり 面白い。 すると また おば様が 「先生~!この子、まだ若いんだから、こ~んなポシェットはダメよ~! 先生、ペン持ってる?シャネルのマークでも書いてやんなよ!」と 言い出した。 …やけに曲がったCHANELを 書いてくれた。 1週間程で 腋の固定は外された。 しかし…外したにも関わらず、全く 腕が体から離れないのだ。 えっ?!何で?パニクった。 たったの1週間で、曲げ伸ばしの筋肉は 完全に退化するのである。 「今日から、少しずつリハビリを始めて、帰るまでには 90度まで 上がる様に 頑張りましょう!」と 医師に言われた。 これは 想定外だった。 初めて こんな事があるんだと知って 焦った。
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