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いつも通りの電車通学
いつも通りの通学路
いつも通りの行き交う人々
「何も変わんないな、いつもと」
晴喜は電車を降り、駅を出て、学校に向かって歩きだす。
何百回と、通ってきた通学路はいつも通りで、何十人と通りすぎる学生達もいつも通り。
本当に何も変わらない日常だった……。
今さらながらも、やはり昨日のは夢ではないかと思わされる。
「それもそれで、ありか……」
力なく苦笑いをする。
何もなくても、元の生活に戻るだけの話だ。
しばらく歩くと目的地の学校が見えてきた。
やはり、ここもいつも通りの建物だった。
が、学校の門、正門を見た時、晴喜は氷つくように驚き足が止まる……。
「ククク……おはよう、晴喜」
赤い瞳
腰まで伸びているクリーム色の髪
真っ黒なコート
シルクハットのような真っ黒な帽子
白いスカーフと太縁メガネ
マジシャンとイメージされる格好。
正門で待ち伏せていた男。
間違いなく
アラスだった。
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