その偶然、的中

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「な、何で……?」     間違いなかった……。 晴喜の目に映っている人物は、あのアラスという堕天使だった。       「ん、どうしたのかね?」      その場に立ち尽くす晴喜を見てアラスは声をかける。       「…………」     不意を突かれ驚きが隠せなかった     が、いつまでも立ち尽くしている訳にもいかず、晴喜は頭の中を動かす。       よくよく考えたら、こんな格好を見たら誰でも、変質者と勘違いされるのではないかと、晴喜は慌てる。     何故なら、その変質者と晴喜は知り合いだからだ……。     「と、とにかく、場所変えよう」     晴喜の提案にアラスは首を傾げる。     「ん、なぜだ?」     「見られると色々とややこしくなるからだよ!」     というか、この正門にいた時点で普通バレている。   だが、晴喜の問いにアラスは再び首を傾げる。       「誰に見られるとややこしいのかね?」     「だから、ここを通る学生にだよ!」     晴喜はそう言い周りを見る。       「…………?」      確かにさっきから何十人と、この正門を生徒達は通っている。     ただ……         普通だ。     普通だからこそ、異様だ。     だから、この違和感にはすぐ気づけた。       「なんで……」       晴喜は門を通る生徒を1人1人見る。     「なんで、誰も……」       晴喜は今度はアラスを見る。         「あんたを見ないんだよ……」    
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