その偶然、的中

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  女子高生、前進。     アラス、待ち伏せ。     「…………」     晴喜、ただ見守る。     このまま行けば、間違いなく激突。   女子高生は相変わらず、前を見ず、携帯ばかりをいじり、門に向かって歩く。     徐々に二人の距離が縮む。       その距離は残り、12メートル……     9メートル……   7メートル……   4メートル……     このままじゃ……     3メートル     ぶつかる……     2メートル……   1メートル……       0メートル       「…………!?」       晴喜は絶句する。     0メートル……   その表現は意味不明、としか聞き取れないだろう……。       しかし、その表現は正しい。       二人はぶつかったのではない……。     重なった……。     第三者から見れば、女子高生がアラスの中に、入ったように見える。     が、女子高生はそのままは通り抜けた。       「すり抜け……た?」       これでは、まるでホログラム……。     これでは、まるで幽霊……。       「理解、できたかね?」      アラスは晴喜の方を向き、ニヤニヤと笑う。       「キミ以外の者には、私を見ることや、気づくことや、存在に触れることも出来ないのだよ」     驚く晴喜を見れば見るほど、アラスは楽しそうにニヤニヤと笑う。       「お客様の前でしか、私は存在しないのだよ」    
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