その偶然、的中

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  県立鈴ノ宮高校。 今日で新学期二日目となる。     2年B組の教室。   この教室の窓側の一番後ろの席     「ハァ……」     深く溜め息をついているのが、晴喜である。 最近はずっと、こんな調子なのは無理もない。     昨日今日で、色々とあり過ぎたからだ。       ふと、晴喜は横目で右の方を、ちらりと見る。     この席から、右3つ隣の席今日も彼女は来ていた。     遠い存在のような彼女。 晴喜の初恋相手、それが早川柚音である。       「本当に成就するのかよ…………わっ!?」     人に聞こえない程度の声で、独り言を言っていた時、突然目の前が真っ暗になった。     何かが、晴喜の目を覆うようにふさぐ感触がある。     そして、晴喜の後ろの方から。   「だ~~れだ?」     「…………」     声を聞いた瞬間人物を判断し、晴喜はその体制のまま後ろに……       右エルボーを打ち込んだ。       「ぶへぇ!?」    その攻撃は見事、背後にいる人物の脇腹に命中した。   振り向くまでもなく、背後にいた人物は……     「何か用かよ、季助」     櫻井季助であった。     「……ふ、見事な一撃だな、マイフレンド晴喜」     かなりダメージが大きかったのか、季助はやや前屈みになる。     晴喜は振り向き、顔を合わせる   「んで、何か用か?」   「おいおい、今日も一段とクールだな~、おい」     「……あ、そうか?」     晴喜は小さく溜め息をはく。       何となくだが……         また、少し疲れを感じた……。    
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