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「ん~、他に立候補はいないのか?」
少し困ったように担任は問う。
一つの委員会に入れる人数は二人。
そして今の候補者は
芹沢 奈央ただ一人。
そして、図書館に立候補しろと命令された晴喜。
ここで手を上げれば間違いなく、晴喜と奈央の二人に決定するだろう。
しかし、メリットなどがあるとは思えない。
晴喜はふと思う。
あの男にからかわれているのでは?
そんな事が脳裏に浮かぶ。
だが……
“指示に従え”
そんな命令もアラスから受けていた。
信じるならば迷う必要はない。
だが、信じなければ……
従わなければ……
……どうなる?
……わからない
……だから、恐怖だ。
今さらの最大の賭けではない、そんな賭けはもうすでにあの時で使用済みだ。
もうとっくに、後戻りはできるわけがない。
ならば、答えは一つ。
「おっ、やってくれるのか図書委員」
晴喜、挙手。
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