その偶然、的中

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「それじゃぁ、図書委員は乙部と芹沢で決定だな」       担任がそう言い可決となった。     何人かの生徒が不思議そうに晴喜を見るが、無理もない。     まるで奈央が図書委員に立候補したから、晴喜が立候補したかのように誤解される。     悪く言えば、追っかけ       無論、本人はそんな気はない。       「……ハァ」     晴喜は小さく溜め息をつく。     そうしている間にも、委員会決めは続行されている。     図書委員確定の晴喜には、もう参加する要素はない。     「……何やってんだか」     晴喜は小さく独り言を呟く。       ふと、隣の席の奈央を見る。       芹沢 奈央、けして晴喜は初対面ではなかった。   ある行事で出会ったことがある     晴喜からの奈央の印象、それは正直に言えば、何を考えているのかわからない、そんな印象だった。     出会った時も、無口、無表情。     奈央はいつもそんな感じだった     だからこそ、周りからは冷たい印象に見られていた。      けして悪い人ではない、とわかっていても誰もが避けてしまっている。       ……と、晴喜の視線に気づいたのか、奈央は晴喜の方に目線を向ける。       奈央と目があってしまい、晴喜は思わず驚いてしまった。       「……あ、え…と、よろしく……な」     と、晴喜は動揺しながらも軽く言葉を発するが……。       「…………」       返事なし、目線を前に外されてしまった……。       やはり……       彼女はよくわからなかった……    
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