その偶然、的中

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  驚いた……     奈央に声をかけられた事に驚く     そして、もう一つ驚いたのは……       奈央の声を初めて聞いたことだった……。     晴喜は一度も、奈央が喋っているのを聞いたことがなかった。     だからこそ、人が当たり前のように声を出すのに、奈央が声を出すと不意に驚いてしまう。       「え、あ、あぁ……そうだな、戻るか」       間を開けてしまったせいか、少しぎこちなく返事をしてしまう       晴喜はとりあえず、一旦目的地を教室と設定し、図書室を出るため出口に足を進める。     図書室を出ると同時に、同じタイミングで奈央も図書室から出る。     そのまま、二人とも歩き出すが、奈央も目的地が教室のため、自然と並んで歩くような形になる。       「………………」   「………………」     気まずい……。     一緒に横に並んで歩く、という珍しいツーショットだが、とにかく会話0。     正直、間が持たずつらい……。     かと言って    歩くスピードを速めたり、遅めたりして距離を離すのは、奈央を避けるという行為になる。       仕方なく、晴喜は奈央と並んで黙々と歩いていく。         「………………」   「………………」       やはり……           気まずかった……。    
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