その偶然、的中

19/25

4353人が本棚に入れています
本棚に追加
/453ページ
    “お弁当、広げて”         分かりやすく解釈すると       “一緒にお弁当食べよう”      「……え、な、なんで俺と?」     晴喜は恐る恐る尋ね、奈央の方を向く。     「………………」     尋ねられた奈央は晴喜を見向きもせず、鞄から小さめの弁当箱を出し、昼食の準備をする。     晴喜は仕方なく、質問の返答がくるまで待っていた。     これはアプローチだろうか?     思わずそう考えてしまう。       奈央は準備が終わると同時に、晴喜の方に目線を動かす。     ちょうど、目と目を合わせるような形になる。       「……乙部君」     「な、なに?」     晴喜はちょっと焦るも “乙部君”というのは悪くない響きだった……。   言われてみれば、 晴喜は友達から“乙部”と呼ばれる事は少なかったので、新鮮な感じがあった。       「……一人じゃ食べにくいんでしょ?」     「……へ?」     確かに、晴喜は一人で食べるのは、虚しいので昼食を断念した     「ま、まぁ、そりゃ……そうだけどさ」    「……じゃあ、お弁当広げて」     どうやら、質問タイムが終了してしまった。   要するに優しさで、お誘いしているのだろうか?     晴喜は自分の鞄から、買い弁してあったパンなどを机に出す。     質問タイムは終わっていた。     だが、やはりもう一度確認したい事がある。     それは       「なんで、俺と……なの?」       改めての質問に       奈央はただ一言……           「……余り者同士だから」          ……晴喜、納得。    
/453ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4353人が本棚に入れています
本棚に追加