その偶然、的中

24/25
4353人が本棚に入れています
本棚に追加
/453ページ
「でね、今年の新入生歓迎会がね――」     楽しそうに話す柚音。   それに対して“うん”や“そう”と相槌をうって話を聞く奈央     やはり、仲が良いとはいえ、奈央は相変わらず口数が少なかった。     晴喜はそんな状況を見つつも、できる限り目立たないように努力していた。     一緒に昼食を食べているとはいえ、どう対応していいのか、わからないからである。       だが……       「ねぇ、ハル君」       「は、はい!」     柚音の再びの不意打ちをくらう     「ハル君の部活は、新入生歓迎会とかどうしてるの?」     「……え、いや、俺、色々な部活やってるだけで、正式な部員じゃないからさ……」     「色々?」     「あぁ、色んな部活の……なんていうか、助っ人やっててさ」     晴喜は昔から運動センスが抜群で、あらゆるスポーツをこなしている。   そのため、どこの部に入ってもスタメン級の戦力となるので、あちこちの部活でスカウトされる。    「へぇー、すごいねハル君、じゃあ野球部とかサッカー部とかの助っ人も?」     「まぁ……一応ね」     「バスケ部とかバレー部とかも?」     「まぁ、一応ね」     追記をすると、水泳部やテニス部などでも活躍してるが、あくまで運動部のみである。     「わぁ、ハル君は引っ張りだこだね」     「そ、そうかな」     しかし、悪くいえば “利用されている”という解釈もできる……。     「私ね、バレー部に入ってるんだけどね、今度ハル君に助っ人頼んじゃおうかな」     「……いや、それ女子バレーだから、俺男だし……」    「あれ、アハハ、そうだよね、うーん残念」     「……ハハハ」         まだ、ギクシャクするも……           晴喜、かなりご満悦。      
/453ページ

最初のコメントを投稿しよう!