その悪意、逆転

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    新学期が始まってから 3日が経った。       そして ここ鈴ノ宮高校の放課後。     グラウンドでは部活紹介と部員募集を兼ねて   鈴ノ宮高校の野球部と他校の野球部とで、練習試合が行われていた。       現在、9回の表。       8対3     鈴ノ宮野球部がリードしている   そしてこの回、鈴ノ宮野球部の攻撃。     ツーアウト、ランナー1、2塁     打順は6番。     打席に立っているのは野球部の部員ではなく。         ユニフォーム姿の助っ人の晴喜だった。       晴喜の成績は4打数4安打6打点、そしてホームランが2本。     誰もが驚く成績だった。     そして5打席目       ノーカウントから初球。       相手の投手は、セットポジションからボールを投げ   アウトコースギリギリの低めストレートを放つ。       だが       晴喜は初球でバットを振る。       そして、ボールをバットの真芯で捕らえる。     カキーーン!     と鋭い音と共に、打球は太陽に吸い込まれるような勢いで伸びる。    そしてボールは学校のフェンスを越え、場外ホームランとなった。       そのホームランに鈴ノ宮野球部の歓声が上がった。     野球部だけでなく、試合を見に来た生徒までも大盛り上がりだった       だが、打った本人は……       「こんなの面白くねぇよ……」       一番、つまらなさそうにしていた……。       無理もない。       この結果には       全て裏があるからだった……。    
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