その悪意、逆転

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    晴喜が野球部の助っ人が終わった頃。       その同時刻、学校の北側にある体育館。     その体育館の中では、ジャージ姿の女子バレー部がいた。     「ねぇねぇ、さっき野球部の試合チョーすごかったよ!」     道具の片付けをしている数人の女子が、楽しそうに話していた     そして、その数人の中に柚音がいた。     「というか、練習ほったらかしで見に行ってたの? 部長に怒られるよぉ~」     「それはそれ、これはこれなの」     「都合良すぎ~」     「いーじゃん、でね、1人チョー凄い男子がいたんだよ!」     その“チョー凄い男子”は5打数5安打9打点の人物を指している。     「皆気になるでしょ、でしょ?」     気付くと皆片付ける手を止めていた。   柚音はちゃんと片付けつつも、しっかり話を聞いていた。     「確か、2年生の乙部君って男子だったよ」     「え!?」     一番反応したのは柚音だった。     「すごい、ハル君そんなに活躍してたんだ!」    何故か嬉しそうな顔をしている柚音に、皆の視線が一点に集まった。     「あれ、ユズっち、乙部君と知り合い?」     柚音に問う。 ちなみに、ユズっちという名は柚音のことである。     「うん、同じクラスだよ」      「しかも“ハル君”って呼び方って……どういう関係~?」     ニヤニヤと楽しそうに聞く女子達。     この質問に柚音は       「ハル君とは友達だよ」       照れもなしにあっさりと答えてしまい、女子達はやれやれ、とした表情を見せる。       「ユズっちさぁ~、もうちょい新展開とかないの?」      「え、どういうこと?」         早川柚音は           恋愛というスキルは備えていなかった……。    
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