その悪意、逆転

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    試合が終わってから時刻は17時25分を回っていた。       グラウンドでは運動部がまだいるものの、教室にはほとんど人は居らず 校内は静まり返っていた。      そして、その静まり返っている校内に晴喜はいた。     本来ならば晴喜は下校しているはずだが、足取りは教室へと向かっていた。     向かう意味はわからない。     だが、向かう理由はただ一つ。       『2年A組に移動し待機しろ』       試合の後にきたこのメールが充分な理由となる。     晴喜は1階から階段で3階まで上がる。     3階の階段に一番近い教室が 2年A組である。       「つか、何で隣のクラスで待機すんだよ……」       疑問がのしかかりつつも、晴喜は中に入る。     教室内は無人で、窓から入る夕日の光が教室を、よりいっそう寂しく思わせた。     晴喜は入り口近くにある席に鞄を置き、腰を下ろす。       これも恋愛に関係があるのだろうか?     晴喜はぼんやりとそんなことを考える。    今回に関しては全く人が絡んでいなかった……。       だか、あの男は全て結果をわかっている。     「なんだかなぁ……」     1人そんなことをぼやいていると、ポケットの中の携帯が着信音と共に震える。     「次の指示か……」     晴喜は携帯を取り出し、メールの内容を確認するため、メールを開く。     多分指示は、また移動する指示だろうと思っていたが……。           「…………!?」           絶句……       一瞬にして気持ちが氷ついた……。       間違いではないのかと、何度も読み返した。       何度も       何度も何度も         「……嘘だろ」       信じられない。       「……嘘だろ、嘘だろ、嘘だろ嘘だろ!!」       信じたくない。         「……ふざ、けんなよ……」         その内容を……         信じたくなかった……。      
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