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「そういえばハル君」
柚音はベッドから上半身を起こした状態で、晴喜に話しかける
「…………ん」
晴喜は返事はするものの、相変わらず表情には不安や動揺が混じっている。
「友達から聞いたよ、今日野球部の試合でハル君凄い活躍だったね」
「あ……あぁ」
それは事実の様で、そうではなかった……。
実力で勝ち取った結果ではなく、全て必然という仕組みがあっての話だった。
「結構噂になってるんだよ」
「そう…なんだ……」
「ハル君って、本当にスポーツ上手いんだね」
「まぁ…ね……」
「もしかして女の子にモテたりする?」
「どう…かな……」
「……ハル君?」
晴喜の様子に柚音は少し首を傾げる。
「どうしたのハル君、なんだか顔色悪い様に見えるけど……」
「…………」
確かに
普段の晴喜は柚音の前だと動揺はするが
今の晴喜はその時の様子とは違った……。
「いや、何でもないよ」
晴喜は何とか笑顔を作る。
しかし
表情には不安や動揺が見えていた……。
無理もない。
晴喜が今感じているのは……
“罪悪感”
何故罪悪感?
理由は簡単だ。
晴喜の目の前にいる柚音。
彼女を傷つけた犯人は……
晴喜本人であるからだ。
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