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あっという間の出来事だった。
柚音がどうなったのか
それは考えるまでもない結末だった。
階段に強く叩きつけられる様に転がり落ち、階段の先にある壁に強く激突した。
そして、そのまま柚音はピクリとも動かなかった。
晴喜はその光景を目に映した……
自ら作り上げたその光景を、目に映してしまった。
「………………」
晴喜は自分の両手を見る。
事実、この手で柚音を突き落とした。
突き落としたその両手は、右も左も震えていた。
「…………ハァ……ハァ」
頭が真っ白になる。
今、感じているのは……
恐怖。
潰れそうな心で息は荒くなる。
「…………ハァ……ハァ」
“キモチワルイ”
吐きそうだ……
胃から込み上げてくる感覚があった。
「………………う」
体から力が抜けていき、床に膝をつける。
「…………う……ぁ」
晴喜は自分自身がパニックに、ならない様に冷静にと、心を押し殺し続けたが……
「あ……あぁあ……あ……」
晴喜は倒れている柚音を、もう一度目に映した時。
抑え続けていた心が
制御できなくなった。
「ぅ、ぁぁああぁあぁあ!!」
恐怖と罪悪感に追い詰められ、晴喜は叫んだ。
誰もが思う。
これが……
恋愛なのだろうか……?
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