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時刻は19時10分――
あの後、柚音の家は学校の門を出て、晴喜とは帰り道は別方向だったため
すぐ別れて帰った。
無論、真実は語らぬまま――。
そして現在
晴喜は寄り道することなく、自分の家の前まで帰ってきた。
晴喜の家はごく普通の二階建ての一軒家。
三人家族の晴喜には、むしろ広すぎる方だ。
晴喜はドアノブに鍵を入れ、ドアを開ける。
「ただいま……」
普段よりも帰宅が遅いせいか、疲れが増していた。
「あらぁ、ハルちゃんおかえり~」
廊下の先にあるリビングから、トタトタと女性が歩いてくる。
「あー……ただいま、母さん」
晴喜の目の前にいる女性は晴喜の母親である。
常に長い髪を後ろで結んでいる
ただ、母親という年齢にしては顔が童顔で幼く
身長は晴喜と比べると、10センチ以上低い。
他の人から見れば、年の離れた姉弟ではないのかと思う人もいる。
「ハーイ、ごくろーさま~」
ちなみに精神年齢も低めで子供っぽい。
「それにしてもぉ、今日は随分と遅いのね」
「まぁ、色々とあってさ」
「あーー!もしかしてハルちゃん……」
大袈裟に驚いたポーズを取り
「ついに女の子とデート!?」
「ちげーよ」
晴喜は即答で返す。
「アハ、冗談じょーだん、怒っちゃダーメ」
そう言い、晴喜の頭を撫でる。
「……たく、ガキ扱いはやめろって」
「アハ、子供子供~」
さらに疲れが上乗せされた……
いつもこのノリが
乙部家の日常であった。
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