アヤサ  嫉妬

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 一番近くのデパートに入る。可愛らしい、私好みの服が沢山あって目移りする。  しかし私はセール品だって買えない状況。  淡いピンクのフンワリした生地のワンピースを見てるサトミさん。  サトミさん、綺麗だしスタイルいいから似合いそう。  鏡に映った自分の姿は貧相。  痩せ細り、髪も艶が無く、幸薄そうな女の姿。  今の私には似合う服なんて無い。  まぁ、買う気なんて端から無いからいいんだけど。 「私このワンピ買うわ!あっちのスカートもいいわね!」  サトミさん生き生きしている。買い物が好きなんだ。  ミクは疲れてベンチに座って終わるのを待っている。  私だってまだ若いしお洒落したい。  けど……無理。  お金が無いし、お洒落したって見せる相手はタクだけ。  タク相手にお洒落なんて無駄無駄。  買い物を済ませて紙袋をぶら下げるサトミさんに向かって言った。 「随分生活に余裕あるのね」  見せ付けられたみたいで、つい嫌味っぽく言ってしまった。  サトミさんは少し意外そうな顔をした後、首を横に振った。 「私、贅沢なんて出来ないわよ。常に財布と相談しながら買い物よ。  それにね…これからお金が掛かる事を始めなきゃならないの…」  真剣な顔で語ってくれたけど、お金が掛かる事って?マイホームかしら?やはり贅沢ね。  サトミさんは自分の贅沢に気付いてない。  幸せ者ね。
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