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タクの部屋に着いた。
付き合いはじめた時はウキウキしながら押していたインターフォンを、今は嫌な気分で鳴らした。
出てきたタク。もう見たくない顔。
……前は愛してたのに。
タクは珍しく真剣な顔をしていた。
正直その顔に驚いた。だって、電話でもああだったし、タクは馬鹿で最低だから、どうせヘラヘラしてると思った……。
「なぁ……。アヤサは中絶費用なんてあるのか?」
失われる命より、お金の方が心配なのね。
まぁ、全て私に押し付けないで少しでも責任感じて心配してくれてるなら、良かったかも……。
お金には困っていたし。
だから正直に答える。
「……無いよ。だから誰かに借りようと思った。ダメなら金融会社にでも借りようと思う……」
「無いんだろ?だからさぁ、俺が親から貰おうと思って言ったんだ」
「…………親に言ったの?!」
私は親には言えないし隠し通すつもりだったから、その言葉に驚いた。
タクは簡単に親に中絶費用を貰うんだ……。自分の過ちも簡単に親に頼るんだ……。
「そしたらさぁ、親が話したいから来いって言うんだ。今から行くぞ」
……はぁ?
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