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出会いは合コンだった。
友人に誘われ、彼氏がいなかったので参加した合コン。
約束の時間は21時。仕事を定時の18時に終え、時間に余裕が有ったから、短い睫毛に何度もマスカラを塗ったりした。決して大きくはない一重の目をアイメイクで目力を強くした。肩より伸びた髪は軽くカールを入れたりもして。
普段はお洒落に無頓着で化粧だって適当だから、合コンに気合い入れてると友人に思われたかもしれない。
21時。有名チェーン店の居酒屋で合コンはスタートした。三対三で一番明るい男がタクだった。背が高くて、ガッチリした体型。目は二重で高い鼻、整った顔。イケ面の部類に入る。好みのタイプだから注目してた。
「今日仕事だったんだよね?何してるの?」
初対面なのに馴々しく話し掛けるタク。
「お菓子屋で接客とか……」
「マジ?俺お菓子好きなんだよね?安く買えたりするの?」
色々と話している内に意気投合して、合コンの帰りに次に会う約束をした。
その約束の日。初デート。雰囲気がいいイタリアンレストランで食事をして、当日話題だった映画を観たのを覚えてる。緊張はもうしなかった。性格が合うからだと思った。
帰りにタクは「俺達付き合わね?」と笑顔で言ってきた。
一応、告白になるのだろうか?
私は頷いた。それはタクの交際の申し込みを受け入れを示す行為だ。
嬉しかったから。
タクと付き合えるのが。
……その先にある苦しみなんて、全然想像しなかったから。
普通に愛し合う幸せを信じていたから……。
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