アヤサ  嫉妬

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 部屋から出て来たサトミさんの手には昨日のケーキの箱がある。 「これ、食べてね」  美味しかったケーキ…。昨日の甘味がくれた至福を思い出す。  私も食べたいけど、二個ともタクに食べられるのよね。  …それより礼を言わなきゃ。  お礼を言う事が多い。それだけ世話になってるのね。 「本当に有難うございます。いつもスミマセン……」 「いいのよ」  いつも笑顔、今も笑顔のサトミさんは私と正反対の生活をしているのよね。  生活に余裕が無ければ、こんなに親切には出来ないもの。  羨ましいわ…。  でも、これで外出の用は無くなった。折角外出の用意したけど部屋に戻ろうかな?  そう考えていると、サトミさんが笑顔を輝かせて言った。 「これで一緒に買い物できるかな?ねぇ、服でも買いに行かない?」  そうだった。  服を買いに行くのに誘われていたんだった。  私は服なんて買う気は無いけど付き合う事にした。  ケーキの借りがあるし。  女の人って一人で行動したがらないのよね。  一緒に買い物する人がいなきゃ嫌だという人、一人じゃ寂しいと言う人…。  小学生だと、トイレも何人で行ってたりするわね。  女性の集団心理なのかしら?  私は一人で平気なのに。  あっ。行く前にケーキ置いてこなきゃ。 「ちょっと置いてきます」  そう言って部屋に戻るとタクは寝ていた。  起こさないで、ケーキを冷蔵庫に入れて部屋を出る。  そしてサトミさんの車でデパートに行く事になった。
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