25568人が本棚に入れています
本棚に追加
暫らくして、タクの誕生日が来た。一つ年上だから二十歳になる。
でも、その日は仕事だった。
勿論、祝いたい気持ちは強かった。それでも仕事が忙しい日で休みを貰えなかった。
タクの誕生日の二日前、デートの時に、私はその事を告げた。
「タク、ゴメンね。私タクの誕生日、仕事休めないんだ……。本当にゴメン!
だから今日、お祝いするねっ!」
すると、タクの顔が変わった。今まで見たことが無い怒りの表情を浮かべた。
「お前っ!俺より仕事を選ぶのかよ!ふざけるなよ!お前の誕生日は祝ってやったのに!」
「だから今日祝うから!本当にゴメン!」
私は初めて見たタクの怒りの顔、怒鳴り声が怖くて、とにかく必死に謝った。でも……タクは許してくれない。
「今すぐ会社に電話して休むと言え!言えないなら俺が変わりに言ってやるからっ」
「何言ってるの?そんなの無理に決まってるしょ!」
バシッ
……ッ!!
タクの拳が私の頬に勢い良く当たった。
……最初、何が起こったのか解らなかったが、タクの拳と頬の痛みで殴られたと悟った。
これが、タクの暴力の始まりだった。
最初のコメントを投稿しよう!