アヤサ  始まり

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 暫らくして、タクの誕生日が来た。一つ年上だから二十歳になる。  でも、その日は仕事だった。  勿論、祝いたい気持ちは強かった。それでも仕事が忙しい日で休みを貰えなかった。  タクの誕生日の二日前、デートの時に、私はその事を告げた。 「タク、ゴメンね。私タクの誕生日、仕事休めないんだ……。本当にゴメン!  だから今日、お祝いするねっ!」  すると、タクの顔が変わった。今まで見たことが無い怒りの表情を浮かべた。 「お前っ!俺より仕事を選ぶのかよ!ふざけるなよ!お前の誕生日は祝ってやったのに!」 「だから今日祝うから!本当にゴメン!」  私は初めて見たタクの怒りの顔、怒鳴り声が怖くて、とにかく必死に謝った。でも……タクは許してくれない。 「今すぐ会社に電話して休むと言え!言えないなら俺が変わりに言ってやるからっ」 「何言ってるの?そんなの無理に決まってるしょ!」 バシッ  ……ッ!!  タクの拳が私の頬に勢い良く当たった。  ……最初、何が起こったのか解らなかったが、タクの拳と頬の痛みで殴られたと悟った。  これが、タクの暴力の始まりだった。
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