25567人が本棚に入れています
本棚に追加
自由時間、面会人が来たと聞いて、面会室に向かった。
来てくれたのは、サトミさん。刑務所は住んでいる街から離れているので、片道一時間は掛かるだろう。遠いのにわざわざ来てくれたんだ。
アクリル板越しに見た姿。普段から派手な格好はしない人だけど、場所が場所だからか地味な服装だ。そして薄い化粧の顔は悲しみを浮かべている。
面会室は刑務官も含め、三人。誰も話さず、静かな部屋。
……折角来てくれたのに悪いけど、話すことなんて……無い。
まさか刑務所生活の愚痴なんかする訳にいかないし、何を話せばいいか……。
あっ。
謝罪した方がいいのかな?やっぱり。
今回の件でサトミさんにも凄く迷惑を掛けたから。
思えば、ミクに関してはサトミさんに迷惑ばかり掛けた。
そして、最後にこの結果。
……申し訳ない、わよね。
「あの……」
沈黙を破った私の小さな声に、俯きかかっていたサトミさんの目が私に向かった。
綺麗な……悲しい目が私を見つめる。
「今回は……その……、ご免なさい……」
叱られた子供みたいに、おどおどしながら謝った。
「それは……ミクちゃんに言うべき言葉よね」
悲しい顔でサトミさんが言った。
声まで悲しげだからだろうか……?
胸が痛んだ。
最初のコメントを投稿しよう!