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俯いてしまったタク。顔は見えないが、肩が震えている。泣きそうなの?
……何故?
思わず固まってしまった私を見て、タクの代わりに義父が口を開いた。
「お前等は家族の恥だ。身内に犯罪者が居たら困るんだ、分かるだろ?」
ああ。
社長である義父は周りの目を人一倍気にするから……犯罪者になった私が「家族」であるのが許せないのでしょうね。
排除したいんでしょうね。
何よ。私は結婚なんかしたくなかった。
なのに、孫の顔見たさで結婚させたんじゃない。
義母さんが亡くなって、息子がいる若い愛人と暮らし始めて、私達やミクまで簡単に捨てた義父。
怒りで軽い目眩がした。
タクが顔を上げて言う。
「離婚届けはもう書いたんだ……後はアヤサのサインだけなんだ。
離婚しなきゃ俺、家族の縁を切られて、あのマンションで一人で暮らさなきゃいけないんだよ。仕送りも無しで……。離婚したら、又あの家に帰ってもいいって言うから……。
アヤサが出所したら又結婚するから……
離婚届けにサイン、してくれるか?」
泣きそうな顔のままタクが言ったのは……離婚。
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