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「それじゃあ……タクは、私を愛していた?」
答えずに質問返し。この質問が以外だったのか、「へっ?」と間抜けな声を漏らした後、タクは答えた。
「愛していたに決まってるだろ」
「でも、私を殴ったり蹴ったりしたよね」
「……」
「私はね、タクを……『愛していた』つまり、過去形なの」
「過去?」
「付き合い始めたばかりの頃は……間違えなく、愛していた。
でも……暴力を受けるようになり、それが当たり前になった頃は、もう愛していなかった。
タクと結婚した頃には、もう愛していなかった」
言えなかった本音を吐き出した後、タクは黙り込んだ。私も黙り込む。
別に面会している人の声が微かに聞こえた。
私達とは違って、弾んだ会話の声が。
ちらりとタクを見たが、俯いていた。
そんなタクを呆れた様な目でみる義父。
私が受けた暴力を聞いても、何も思わないの?
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