アヤサ  面会

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「それじゃあ早めに離婚届けにサインしてもらうか」  そう冷徹に言い放つ義父。その言い方が何故だかとても腹立たしかった。  「ああ、それからミクについてだが」  ミク。   ミクの名前を聞いて、ズキンと胸が傷んだ。  「親権はアヤサさんに譲るからな」  義父のその言葉は予想外の物だった。……いいや、この男だ。生まれる前は望んだ孫でも今では厄介者なのだろう。   だからミクを籍から外したいのも解る。   譲るなんて言ってるけど、押しつける、でしょ?だって、普通、虐待した親に親権を譲るなんて考えられないもの。  それにしても……ミクに対して、他に言うことは無いの?   虐待をした本人の私が言える立場ではないけど……。   もしかして、私に気を使って、虐待や怪我の事は言わないでくれているの?  ミクへの虐待や怪我について言わないのは、私が辛くならない為――?  しかし、次の義父の発言で、その考えがは撤回される。
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