アヤサ  面会

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 暫らくタクは、半泣きしながら最近の状況を話した。  涙ぐんで喋るタクの話しの内容を頭の中で整理した。  どうやらタクはあの豪邸の中で、家族とは別に暮らしているらしい。「離れ」ってやつかな。   タクは働く事を必要とされず、働けとも言われない。   ただ、与えられた部屋でテレビとゲーム三昧。食べたい物も与えられ。……そう言えば、タク、また太ったよね。   好きな物を与えられ、自由な生活をしているタク。   しかし、自由なのは離れの部屋の中だけ。   外出は中々出来ないし、出るとしても夜中に人目を避けて。必ず誰かと付き添って。   タクは家族から「厄介者」扱いをされ、これ以上、一家の恥になる行動をしないように、世間から隠されたのだ。物は充分に与えられてるが見放されたんだ。   監禁と迄は言わなくても、軟禁状態。   義父はタクを……実の息子を「恥曝し」と言い世間から隠すんだ。   恐ろしい。   体裁の為にそこまでやる義父に……家族にゾッとした。   そんな事をしても、更にタクを堕落させるだけじゃない!  そしてタクの涙の理由は……もう私に会えないから。   離婚も成立し、もう会えなくなるからだとか。   泣く程に私を愛していたの?   なんなに暴力を振るってきたのに。  「なぁアヤサ、アヤサが出所したら再婚って無理なのか……?再婚は無理でも会ったり出来ないのか?」  そう言うタクは弱々しく、捨てられた子犬みたいな目。DV男の面影はもう無い。  私は、静かに首を横に振る。   私が受けた暴力の傷は癒えず、憎しみという傷痕を残したままだから。
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