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「俺さぁ……合コンでアヤサと出会って、付き合えて、嬉しかった」
いきなり、付き合い始めた頃の事をしみじみと語りだしたタク。
私も思い出した。
まだタクを愛して、幸せだった頃を。
恋愛に浮かれ、タクの嫉妬さえも愛されている証と思い喜んでさえいた、素直に笑えてた日々を。
あの頃の自分が眩しい。
「アヤサが俺の女になって、一緒に映画観たり、出掛けたり、些細な事で笑い合えて……。俺、今までに色んな女と付き合ったけど、それまでに無い位、アヤサに夢中になってたんだ」
タクの話しを聞くと、幸せに愛し合えた時の気持ちが蘇り、胸が熱くなる。
私だって本当に愛していたんだから。
「だからさ……俺の女なのにアヤサが他の男と話していたら腹が立って殴ったりした。
そうしている内に、アヤサを俺のモノだと思う様になってしまった。
だから……俺のモノなのにアヤサが俺の思う通りにならなかったら無性に腹が立った。
そして……思い通りならないアヤサを殴る様になった…………」
そう言って、タクは俯いた。
そうかタクは…………。
愛し方が分からなかったんだ。
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